建物から見る小田原の歴史

建物から見る小田原の歴史2

松永記念館・老欅荘(ろうきょそう)

松永記念館 老欅荘

電力王と称され、実業界で活躍し、益田鈍(どん)翁(のう)・原三渓とともに近代三茶人の一人としても有名な松永安左ヱ門(耳(じ)庵(あん))が昭和21年に所沢市から小田原に移り住むために建てられたもので、その名称は、登り口にそびえる欅の大木(樹齢約400年)に由来しています。

建物のテーマは『日々是茶』いつでもどこでもお茶を楽しめるように、また既成概念に捉われず自由な発想による意匠・寸法体系で、当初15坪程度だった建物も約8年の歳月をかけ45坪程度(現在の大きさ)まで増築されています。

60歳から始めた茶道であるが、97歳で没するまで多くの茶会を催し、当時の有名な茶人・政治家・学者・建築家・画家などを招き、お気に入りの縁座敷で、にこやかに客人達をもてなしたということです。

大勢に流されず確固たる信念を貫き通す姿から『鬼』と称され、敵も作ったが、東京湾横断道路計画や、郵政民営化などの提案もすでになされ、近代日本の産業史にとって欠かすことの出来ない役割を担った重鎮です。

終の棲家となったこの建物から感じる自由で大らかな感覚、楽しみたい事に対する強いこだわりの実現、客人をもてなす心遣いが、規制・監理強化の中で、息苦しくなっている設計者に向けて、何かを語りかけてくるようです。

その場で揚げてくれる、レトロなファーストフード『さつま揚げ』を頬張りながら、通り沿いの看板建築を眺め、偉大な先人の残した作品たちに触れる小旅行を企画してみませんか。

松永記念館 老欅荘

松永記念館・老欅荘(ろうきょそう)

所在地:小田原市板橋941-1
問合せ先:小田原市 生涯学習部 郷土文化館 0465-23-1377
アクセス:箱根登山線 箱根板橋駅(小田原駅から一つ目)下車徒歩10分
駐車場もありますが、お薦めは、やはり徒歩でしょう。

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